バリ島.吉川孝昭のギャラリー内


第2作 男はつらいよ

1969年11月15日封切り










第1作の成功に気を良くした松竹はすぐさま第2作を作ることを決断するが、急がせたために全く新しい
脚本を書くに至らず、ストーリーや登場人物等を考えると若干テレビ版の影響がある。
しかしそれでもなお、この第2作はスタッフ、キャストのの情熱、安定した構成力、密度の濃さ等、長いシリーズの
中でも最高峰の一つであることは間違いない。
しかし題名の「続.男はつらいよ」でもわかるようにスタッフがこの時点でもなおシリーズ化を決めているわけ
ではないのがわかる。もう1本、もう1本、という感じでこのあともしばらくは作っていく。それもとてつもなく短い期間で。
松竹もスタッフに無茶を言ったもんだが山田監督達もよく情熱を持って作っている。たいしたものだと思う。もっとも
あまりにも急がせたためにこの後の第3作、第4作は、山田監督は脚本までの担当でとどまっている。
体は一つなので仕方が無いことだが、少し残念だともいえる。ちなみに第3作を担当した森崎東監督の作品「フーテンの寅」
はエネルギッシュな佳作で、このベストには入れなかったが、山田作品とは違った「生々しさ」が光っている。



 第1作との違いはあの松竹富士山の段階から「男はつらいよ」のテーマ曲が流れるところである。
 この後のほとんど全てがこのパターンを採用していく。
 第1作との違いは夢のシーンがこの作品から登場してくることだ。このあとも夢のシーンが無い作品もちらほらあるが基本形としては
 冒頭には「夢」のシーンである。もっともこの第2作はコントの要素は無く、本題への伏線にとどまっている。
 

                               


 全体に薄い秋の夕暮れ色の画面。
 「もしやあなたはお菊さんと申しませんか?」
 「今を去る38年前、雪の降る寒い夜、玉のような男の子をお産みなすったはずだ。」
 「おっかさんの倅、寅次郎でござんす」
 「おっかさーん…」
 このシーンには後に本題の中で寅が京都で母親のお菊に会う直前に人違いするお澄(すみ)さんが登場している。←風見章子さん
 本当の菊は、泣く子も黙るあの、ミヤコ蝶々さんである。
 夢の中でもどうやら人違いしているらしい。(もちろん観客はこの時点では寅同様この人がお菊さんだと思っている。)
 
 ここで夢から覚める。
 旅先の料理旅館「小崎亭」で寝ていたのである。←電話40番
 
蒸気機関車がシュ、シュ、シュ、ポーッ!山田監督は本当に蒸気機関車が好き。この先の作品でも
 いたるところで出てくる。特に第5作は圧巻。

 「また夢か…」

 おなら「ぷーーぅ」「パタパタ」  三味線 ペペペン、ぺンぺン…。←初めてのギャグ(喜劇であることを知らせる)

 メインタイトル黄色地に黒との文字)←演奏はまだとても静かな優しい感じで、後のダイナミックな演奏ではない。


                     


 「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯をつかり姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの
 寅と発します。」


 さくらが結婚してしまったので「俺がいたんじゃ、お嫁にゃいけぬ…」とは歌えないので
 
   2番の歌を採用(「男はつらいよ」はすべて星野哲郎さん作詞)

   どぶに落ちても根のある奴は いつかは蓮の花と咲く
   意地は張っても心の中じゃ 泣いているんだ兄さんは
   目方で男が売れるなら こんな苦労も
   こんな苦労も掛けまいに 掛けまいに♪」



                      


 曲と同時にキャスト、スタッフが、手書文字で出てくる。第1作はフォント文字。
 
 歌と同時に江戸川土手えお歩く寅。
 ここでおなじみのショートコントが入る。
 まず、トランクでカップルの男の頭を叩いてしまう。そのあとサッカーボールを少年達の場所まで蹴ろうとして
 空振り、ステン!
と思いっきりコケル!
 (この間も歌は終わっても伴奏だけは続いている。)






 いきなり店員さんがドーンとアップで映り、とらやの中から始まる。←この店員さん、第1作と違う女の子を使っている。
 第2作のほうが年上で垢抜けている。
 さくらが満男のオムツの世話をしている。
 「さあ、そろそろ帰ろうかな」
 おいちゃん「博さんとお帰りよ」「晩飯食っていけ」などといってさくらを帰そうとしない。
 「あのばあさんとさしむかえに飯食うの飽き飽きしてんだよ。」なんて不謹慎なこと言っている。
 おばちゃん満男をだっこして裏の工場から戻って来る。←満男におとうちゃんの働いているところを見せたかったようだ。
 ここでまたあの「ますます顔が寅さんに似てきた。理由「四角い顔」
 「たぬき面」と「ゲタ面」で笑わせる。ちなみにおいちゃんは満男のこと「みっちゃん」って呼んでいた。
 ここで例の店員さん多めのセリフ「おかみさん、お店のお客さんビール1本」←実はこれは寅が注文したもの。
 お店の店員さんは寅のことを知らないのだ。


                        


 「おばちゃん寅だよ見忘れたか・・そうだろうなあ、無理はねぇよ…」

 「なに言ってんだよ、やだよービールなんか注文したやってさ、」

 「なんだよ、しばらくしばらく見ねえうちに随分年とったなあ…あれから何年経ったっけ…(指で数えながら)」

 「まだ一年もたっちゃいねえよ。」

ハガキの一本ぐらいよこしゃ良かったんだよ。(店にはまといが置いてある)

(感極まって)こんなヤクザの旅ガラスにそこまでしんぱいしてくれて…

わかったわかったまあその辺にして・・

(寅、さくらに気がつく。)

さくら―――、なんだいそりゃー  へー子供が生まれてたのかー、おまえの子供か。
第1作のラストの手紙で「風の便りに妹さくら出産の知らせを聞き…」と手紙で書いているので
 本当は知っているはず。

なにしてたのよ。こんなに心配しているにのに・・・(さくらの顔が美しい)


                          

 「あんたのだよ。あんたに似てるって評判なんだよ・・・」
 「これで失礼するぜ・・・」
 「今来たばかりじゃねえかよ。」
 「止めねえでくれよ。旅の中よ何、ちょっと寄っただけだ。」

 「一杯が二杯になり三杯に・・団子が出るかまた茶を飲むかそのうち酒になるじゃねえか俺は
 一杯や二杯じゃすまねえぜ、気がついた頃にゃ、お銚子がずらりと並ぶ。さあ、もう腰が上がんねえ。
 いっそのこと、泊まっていくか、(寅、大きく手を上げ、)
カラスカーァと鳴いて朝になる。おはよう!
 団子が出るか、酒を頼むよ、さあ、俺は旅に出れなくなっちまうじゃねえか。


 (困った顔で)「何もそこまで考えなくていいじゃねえか・

 本当に出て行ってしまう寅にさくらが追いかけてきて「どうして遠慮するの?」と食い下がるが
 「惜しまれて引き止められるうちが花ってことよ。分かるだろ、な。」
 「飴玉の一つも買ってもらいな」
←なんと5千円!
  あとで少し後悔「痛かったなあ…今のは」
 後ろの石に落書きで『おならくさい』と蝋石で書かれている。

 第8作に出てくる貴子さん経営の「ローク」は建設中!。


                          


 とはいうものの、すぐには柴又を出ず、その辺をぶらぶらする。
 このあたりからのストーリーの内容と展開が一部テレビ版を踏襲している。

 寅、ぶらつきながら歌を口ずさむ「一、二、の三、鎌倉の―、ホラチンガラホケキョ―」♪

子供の三輪車が坂を駆け抜ける。「おっと!」

「坪内英語塾」

坪内散歩先生の自宅←坪内逍遥のもじり。逍遥散歩で、かけている

「おひさしぶりでござんす」「アッシのこの顔に見覚えありませんか?…無理もねえ、20年も昔の…」葛飾商業で英語

「いいや!忘れとらん、覚えとるよ」

「ハナタレお嬢さん元気ですか?」

夏子、誰だかわかるか?」
「寅次郎さんじゃない?」←第1作の「坪内冬子」とこの「坪内夏子」双子のような名前だが、赤の他人。すごい偶然
「ハイ」←小さな声で

「おまえの顔はねえ、一度みたら忘れられん顔だよ。」
「サンキュー!サンキュー!」
酔っ払って、とらやに電話。


                     


 
「あーあー、人生相見ズ、ヤヤモスレバ参(シン)ト商ノ如シ。今夕(コンセキ)マタ何ノ夕べ
 コノ灯燭ノ光ヲ共ニス。」


「ダメだよ、先生。オレ英語全然ダメよ。」「漢詩だ」

「人間というのは再会するのははなはだ難しいということだ。」
「今夜はなんと素晴らしい夜だ。古い友人訪ねてきたのである。明日になれば君はまた山を越え、私はここに残る。」
「ひとたび別れれば人生は茫々としてお互いの消息は絶えはてる。」
「アーアー明日山岳ヲ隔ツ、世事両(セジフタツ)ナガラ茫々。」だな!

これは中国の詩人杜甫(712〜770)が乾元二年(七五九年)春、四十八歳のときに作った友情を表現した詩
「贈衞八處士」である
杜甫が二十年ぶりで衛家を訪ね、同家の八男である友人に再会した喜びを詠んだもの。
明日のことはわからない戦乱の世、その喜びはひとしおだった。




     贈衞八處士

人生不相見、動如参與商。今夕復何夕、共此燈燭光。

少壮能幾時、鬢髪各已蒼。訪舊半為鬼、驚呼熱中腸。

焉知二十載、重上君子堂。昔別君未婚、兒女忽成行。

怡然敬父執、問我来何方問答乃未已、兒女羅酒漿。

夜雨剪春韭、新炊間黄梁。主稱會面難、一舉累十觴。

十觴亦不醉、感子故意長。明日隔山岳、世事兩茫茫。



人生相い見ず、動もすれば参と商との如し。

今夕は復た何の夕ぞ、此の灯燭の光を共にす。

少壮能く幾時ぞ、鬢髪各々已に蒼たり。

旧を訪えば半ばは鬼と為る、驚呼すれば中腸熱す。

焉んぞ知らん二十歳、重ねて君子の堂に上らんとは。

昔別れしとき君は未だ婚せざりしに、兒女忽ち行を成す。

怡然として父の執を敬し、我に問う何方より来るやと。

問答未だ已むに及ばざるに、兒女は酒漿を羅らぬ。

夜雨春韭を剪り、新炊黄梁を間う。

主は称す会面は難しと、一挙に十觴を累ぬ。


十觴も亦た醉わず、子の故意の長きに感ず。

明日山岳を隔てなば、世事両つながら茫茫。

人生において別れた友に再び会うことが難しいことは、ともすれば参星(オリオン座)と商星(サソリ座)が一つの空に相見ることが
ないかのようだ。だが今宵はまたなんとよい晩なのであろうか。この一つともしびの光をあなたと囲んでいるとは。若くさかんな
日々はいつの間にか過ぎ去り、鬢や髪はお互いすでにごまじおになってしまった。昔の仲間を訪ねてみると半分は故人となっている。
私は驚き叫んで腸の中が熱くなる。思いもかけなかった、二十年を隔てて、再びあなたの座敷のお客になろうとは。
昔別れた時あなたはまだ結婚していなかった。ところが今は男の子や女の子が列を作って出てくるではないか。彼らは喜ば
しげに父親の友達に敬意をはらい、「どちらからいらっしゃったのです。」などと尋ねたりする。私の子供達の問答がまだおしまい
にならないうちに、あなたは子供達をかりたてて酒や飲み物を並べさせる。また夜の雨の中を春の韭を切り取ってき、こうりゃん
を混じえて新たに飯を炊いてくれる。主人のあなたは言う、「会うことはなかなか容易ではない。」と、そして一息にさかずき十杯を
続けざまに飲む。十杯のさかずきをかさねても私は酔いはしない、ただあなたの古い友情のいつまでも変らぬことに心うたれるのだ。
明日ともなりお互いに山を隔ててしまったならば、山のこちらとあちらと両方とも世の営みははかり知れなくなってしまうことであろう。



この直後寅が人生初の胃痙攣クラッシックな救急車に乗る!「金町中央病院」
寅は救急車に結構乗っている。第22作「噂の寅次郎」、第45作「寅次郎の青春」でもお世話になっている。(^^;)


おいちゃんいつものセリフ「知らねえよ、オレゃもう」

病院のベッドの上で啖呵売

「ねっ!かどは一流デパートで下さい頂戴で頂きますと700が600、500は
下らない品物、今日はそれだけ下さいとは言いません!ねっ!浅野内匠頭じゃ
ないけど腹斬ったつもりで負けちゃう!これ、どうです、500が300、200が50、
えい!貧乏人の行列だ、持ってきやがれ、この乞食野郎」

暇を持て余している馬鹿ババア(近所の乾物屋のババア)

兵隊→ へいじゃねえ、てめえだ向こうへ行ってろ、ババア
ビックリしてしてぶっ飛んで行っちゃう

患者「ああ先生、助けてください、この人が笑わせるもんですから」財津一郎
看護婦さん怒る。
「そうかオレの子供産みたいか、待ってろ待ってろ、一度産ませてやるから!」

                 

盲腸の手術をした男役で
財津一郎でているが、それの付き添いの女姓役で谷よしのがでている。
実はこのあとラスト近くの散歩先生の葬式の時も谷よしのさんは知り合い役、
つまり別人役で再度出ていた。
随分重宝がられているんだなあ。


医者の藤村怒って
「どこだと思ってんだ!」
火葬場じゃねだろう」
「てめえだな、オレの横っ面張りやがったのは!
「おっ?てめえ、さしづめインテリだな!?」←出た〜!
「あっ、そうか、そのインテリが暴力を振るったわけだ。」

「へー、田へしたもんだよかえるのションベン、見上げたもんだよ屋根屋の
ふんどしときたもんだ。」


「僕が医者じゃなかったら、表へ出ろと、言いたいところだ。」


君は僕に喧嘩を売ろうと言うのか、よーし、それがいやしくも患者に対する
医者の態度か、


夏子やって来る。
藤村「いいものを食べ過ぎて胃がびっくりしたんでしょう。」

寅病院から抜け出す。

うな重、肝吸つけて二人前
500円チップ

藤村、夏子に「あなたのほうも被害者なんですね…」


                         


飲み屋でトラブル寅と登

「お客さん勘定だよ。」「ツケにしておいてくれ」 
「オレは葛飾の寅だ。堅気の衆には絶対迷惑をかけねえ」すごいドタバタ
警察署で寅が手錠かけられている。ちょっとシリオスな名場面
さくら「不起訴になるかもしれないんだからね」(泣いてしまう)
ショボくれる寅


                         


朝、江戸川の土手で、散歩先生と寅
「穴があったら入りてエ…」
「そのうちきっとご恩返しさせていただきやす。」土手の上で源ちゃんがトランク持って待っている。
「人生相見ズヤヤモスレバ参(シン)と商ノ如シだなあ…」←オリオン座とサソリ座
「おっしゃるとおりです。そこが渡世人のつらいところでござんす。」


                         


 立ち去っていく寅、見送る散歩先生。

しかし、このあとふたりは京都で偶然再会するのだが…

1ヵ月後

京都を旅行中の散歩先生と夏子 清水寺。哲学の道
「紅燃ゆる丘の花、さ緑匂う岸の色、都の花にうそぶけば…。」♪第三高等学校寮歌
寅、啖呵売源ちゃん「サクラ」をして京都までついて来ている。

天に軌道のあるごとく・・・生まれ合わせております、とかく子の干支の方は終わり晩年が色情的関係において良くない、
丙午の女は家に不幸をもたらす、未の女はかどにも立たすな、というが、そこの若いお方、あなたの生まれ年は?
「昭和25年です」←源ちゃんの生年がわかった!25年は庚の寅、この干支の方は両親の縁薄く幼少
より苦労する人が多いという干支であります、この印堂、あなた眉と眉の間にりがありますな、あなた両親がいないね

源ちゃん「へえ、ほんまや、よー当たるわー」この干支の方はどことなく気品があり、そして、頭の良いのが
特徴とされております、
たまたまそうでない場合もあります。

当たるも八卦当たらぬも八卦、人の運命などというものは誰にもわからない、
そこに人生の悩みがあります、奥様、先ほどよりあなたは顔だけこちらを向いて足と体が向こうを向いております、ということは、
これから用をしに行かなければならないが、私の話が気にかかります。何故かと言うと、あなたの心に悩みがあるから、ねえ、
さてみなさん、こうやってここで話をしております。チョンガーの身の上のこの私も何時如何なる時
絶世の美人とばったり出逢うということも・・・お嬢さん!あっあっ、こける

夏子と偶然会う←天文学的数字
「こりゃ驚き桃の木山椒の木だ!」
「寅ちゃんの運勢判断でも分からないの?」
甘いもの屋に入ってかっこうよく払おうとするが例のごとく財布には500円しか入っていない。←この先どの作品にも
出てくる500円ギャグ。500円札が出回らなくなった後もなんとか500円でがんばっていた。
しかし、500円でどうやって宿に泊まったり食事ができるのだろうか?不思議だ。ツケにしてもらうのかな?

旅館で散歩先生に説教される。「正業につけ。額に汗して労働することの尊さが分からんのか!?」

「おまえは人並み以上の体と人並みに近い頭を持っとるんだ!」
散歩先生、微妙なことを言う。含蓄のある言葉だ…。

なぜ京都にいる?
「理由にはならないんだけどおふくろがいるんでね…」

「生きてたの!お母さんが!?」
「でも、俺のこと捨てたおふくろだからね…、むこうで会いたがってるかどうか…」
「でも、血を分けた親子なんでしょ?」
「お互い顔を見会わせて、ハア、あなたがお母ァかい?そんなとこだよね、先生」

「ネバ!ネバッ!!」NEVER! NEVER!!


                        


 「寅、これは大事なことだからよーく聞け。」
 「老病死別」といってな、人間には四つの悲しみがある。」
 「その中で最も悲しいのは死だぞ。おまえのおふくろもいつかは死ぬ。」
 「死んでしまってからじゃ遅いんだぞ!」
 「お母さんと呼べばいい」
 「大きな声でお母さん!



 ところで、
 仏教でいう人間のもって生まれた大きな悲しみとは本来「生老病死」と言われる。
 これらを一般的には「四苦」という。
 生まれることでさえ一つの悲しみで赤ん坊は泣いてこの世に誕生する。特に釈迦の修行したインドでは
 厳しいカーストがあったので生まれること自体が悲劇の始まりのようなケースが多かったようだ。

 ある日出家前の釈尊が東門を出ると老人に出会い、次の日南門から出ると病気の人に出会い、
 また、西門より出ると、葬儀の列に出会い、北門より出ると僧に出会ったという。『四門出遊』

その四つの苦しみの他にもう四つの別の苦しみ、すなわち
どんな愛おしい人とも別れなくてはならない事『愛別離苦(あいべつりく)』
逆にどんな嫌な人とも会わなくてはならない事
『怨憎会苦(おんぞうえく)』
求めても求め切れない事、
『求不得苦(ぐふとっく)』
体が盛んになり、年齢とともに、それぞれの場で出会う困難な事『五蘊盛苦(ごおんじょうく)』

この四苦と最初の根源的な四苦を合わせて「八苦」という。ふたついっしょに言う時「四苦八苦」という。
考えてみれば変な言い方だ。全部で8つの苦しみなのだからただ単に八苦と言えばいいのだが、最初の根源的な四苦を
強調したいためにわざわざだぶらせて「四苦八苦」というのだろう。全部で十二苦ではないので、ご注意を!

ところで散歩先生が「生老病死」の「生」を削り、その代わり『愛別離苦(あいべつりく)』を加えて
「老病死別」と、言ったのはいかにも日本的な、というか「生まれること」を悲しみと言
いたくない優しさ
のあらわれとも考えられる。
寅の生い立ちを考えると、とても複雑な気持ちになる。


 さて、本編に話題を戻そう。

グランドホテルを探す寅と夏子。安井毘沙門町(東山区)

「満州事変の前の年やったかなあ…えらい不景気な時で」←お澄みさん
グランドホテル佛蘭西ハイツ」←正式名称らしい
思い出の間おぶ持っていってちょうだい」「バイブレーションベッド」「ドリームセット」
「梅ちゃん!これ!どこへいったんやあの子はもう…」
「真珠の間やで。」「このごろは女の方が積極的なんやな、へっ、怖いなあ」
暗ろうござんすね」スタンド消してしまう「あっ」「あん?」
トントン(ノック)、「どうぞ!」「ハイ!」
鏡はお好きどすか?」
「ハイ…」「いいえ!」
追いかけて
「人違いだったらごめんなさいよ。よーく俺の顔見てくれ、この顔に見覚えないかい?」
「38年間一度だって忘れちゃいねえよ」「一度だけ口に出して呼んで見たかったんだ!」
「おっかさん!」「あんたの倅の寅次郎だよ!」
「ちょと、ちょと,なにしてんねんな、あんたもう「アテネの間」お客さんな、生卵もってきてって、
はよ持ってってか」
「うるせえ!だまってろクソババア!」
「くそばばあ?何抜かしてケツかんねん!」

「親子?」「お澄みさん、あんた子あったん?」
「いいえおまへん…」


               

「お菊はんは、この人だす。」
「せや、わてや」「何ぞ用か?」
「グランドホテルのお菊はわてやが、おまはんらに妙なイチャモン
つけられる
ことはないで、うちは暴力団とのつき合いはないんやさかいな」
「東京?おったことあるよ。
葛飾で芸者しとってやさかいな」
「そのころ男の子産んだでしょ?」
「えっ、?なんであんた知ってんねん?」
「この人ね。寅次郎さんなのよ…」

「えっ…、おまえ…」
ちょっと顔がほころぶが、すぐ元に戻って)
「ふーん、そう…、今ごろ何の用事やねん。」
「あっ、銭か?銭はあかんで、もう、親子でも銭は関係あらへんで」

「おばさん、何てこと言うの」
「寅ちゃんはね産みのお母さんに会いたくて、それだけでここまで来たのよ」



「オレは何もこんな淫売上がりの女見るためにのこのこやってきたんじゃねえんだよ!」
「さっきから黙って聞いてリャぐたぐた言いたい放題ごたく並べやがって、てめえなんか
どっかとっとと消えてなくなれ、このたぬきババア!」
「何?ようそんなことが言えるな、産みの親に向かって!」
「てめえが産みの親?誰がてめえに産んでくれと頼んだ!オレゃてめえなんかに産んでもらいたくなかったい

ひりっぱなしにしやがって、ひとのことほったらかして雲隠れしやがって、てめえ、それでも親か!」
「ひりっぱなし?ひりっぱなしとはよう言うたな!」
「てめえがオレ捨てたんじゃないか!!」
「やかましやい!!なに言うてケツかんのじゃ、アホ!」
「どこぞの世界に自分の子供を喜んでほうる親があるんじゃ!えっ!何も知らさらんと
すき放題なこと言いやがって!このバカヤロー!出て行け!」
「畜生!てめえが産みの親じゃなかったら、ぶん殴ってやるんだ!」
「おう!殴ってもらおやないか!やれや!」
「やめて!!ダメ!!…」夏子泣く。
「クソ…」寅出て行く。「寅ちゃん!」夏子追いかけていく。


このシーンの寅は48作中一番可哀想だった。
キリストを抱く聖母マリアのステンドグラス。
菊しゃがみこんで、「何しにきやがったんや、あのアホ、ほんまに…」←悲しげ

菊は第7作「奮闘篇」でまたまた活躍!第44作「寅次郎の告白」でも寅が泉ちゃんに
菊がまだ健在であることを話す。さすが、寅の母親だ。なかなか丈夫で元気な人である。

それにしてもこんなに親身になってくれるなんて夏子は優しい人だ。
さすがは散歩先生の娘さんだ。
寅がマドンナを助けたり、面倒見たりする作品は数多くあるが、全48作中、
マドンナがこんなに寅のことに一生懸命になってくれる(恋愛感情は無いとしても)
のは最愛の人リリー以外ではこの坪内夏子だけ。ほんとこのひとは情に厚く優しい。
父母の育て方が良かったのだろう。

佐藤オリエも上手かった。
彼女は後に、山田太一さんの「ながらえば」でもなかなか味のある演技をして良かった。



                                             


  旅館「巴屋」

 「あーあー、俺が悪かった。俺が無理にすすめなければこんな悲しい目に会わなかった。
 「泣け!泣け!泣け!こころから泣け!」

バン!とお膳を叩いて、泣きながら散歩先生曰く「実にこの世は悲しいなあ…」

そしてこの散歩先生も寅にとってまことすばらしい師だと思う。私もこんな先生に
めぐり合いたかった。



 夏子入ってくる。
 「あーオレ死んじゃう、死んじゃうよー!」
 「寅ちゃん、そんなこと言わないの」
 「今晩ここへ泊まって、明日私たちと一緒に東京へ帰りましょう。ね、それが一番いいわ。」夏子の優しさ

 「お嬢さん、こころの張りをなくしちまったこのおいらに帰っていくところなんかあるわけねえよ、ハハハ…」
ガタ!!
(座椅子ひっくり返る)
「エヘン…」障子がスー「あーーっ!」(庭先へ転がり落ちる)ギャグ2連発
「落っこちちゃった、アーアー」泣く。


                        


夏子つい笑う。散歩先生「可笑しくない!」 三味線 ぺペン、ペン
佐藤オリエさん、リハーサルで笑いが止まらなくてこのシーンは脚本に笑うことが取り入れられたらしい。


とらや

「くれぐれも優しく…」「なにしろ自殺しかけた…」
博「僕は、それに似た経験があるので…」
「お母さん」と言ってはいけないことになる。←(この手の禁句ものギャグはこの先多くの
作品で使われることになる)

「夢枕」では息子、倅はダメ!
「恋やつれ」では夫、亭主、だんな、ダーリンはダメ!
「噂の寅次郎」では離婚はダメ!
「かもめ歌」ではすべる、落ちるはダメ!

源ちゃん、かばんいっぱい持って戻って来る。

「笑顔で笑顔で」おいちゃんの顔ひょっとこシンプルだが誰もが笑える強烈な森川信ギャグ!
三味線、ぺン、ペン、ペン…

                                   


おばちゃん「やっぱりお母ちゃんがいいのね…」
博「この子を見におふくろが来たでしょう…」
おいちゃん「テレビつけろ」
「ほら!お馬さんよ!」(さくら)
♪お味噌なーらハナマルキ、
「おかぁーさーぁーん」♪
←この第2作のメインギャグ

           


タコ社長、いつものように駄目押し
「ひでぇ、おふくろさんだったんだってねえ…」

皆で慰める。
「あっ…あ…」
「どうした寅」
「ションベンしてくる…」
一同ポカン
この大事なシーンでの
ションベンギャグは第1作のさくらとの再会でも使われた。
                   


翌日裏の工員にも同じことを繰り返す寅、
「おかーさーん」

夏子、店にやって来る。寅イスを立って飛んでいく。
工員のイスひっくり返って洗濯物も落ちる

                               


「今日お暇だったらうちに遊びにこない?源ちゃん、あなたもいっしょに…」
寅、源ちゃんを隠す。「何だコノヤロ!」←源ちゃんなぐられる。

寅が行くと、もうすでに源ちゃん来ている。
「源ちゃんがね、チビ探してくれたのよ。」←子犬
源、寅に追い出されて、門のところで泣く。
「源ちゃんは?」
「用事があるって帰りました。」←夏子無反応(ちょっと鈍感)
「おまえどこ行ってたの?」
「あっち行ってたの」

「もう行かないでね」

「また行くよー」

「いじめられたんでしょう」

「いじめちゃった!」

「??…」

源ちゃん、門のところでまだ泣いている、「チクショ!エーン、エーン…」←幼稚園の子供ら見てる
夏子の声が聞こえてくる
「泣いちゃダメ、ホレホレホレホレ…」

夜、散歩先生と晩飯

 
「こら!渡世人、フーテンの寅!おまえは実にバカだなー!
 おまえを退学させた校長のタヌキもバカだが、そのタヌキをぶん殴ったぶん殴ったおまえはもっともっと
 バカだぞ!

 はい、すいません。

「ただ!しかしだ!(バン!!)おまえなんかより少し頭がいいばっかりに
おまえなんかの何倍もの悪いことをするやつが、うじゃうじゃいることだ。
こいつは許せん!実に許せんバカモノどもだ!」


「私よりバカがおりますか」

「おるおる!」


                     


外に出て
「本当はね、お父さん寅ちゃんとお酒飲むの、とっても嬉しいのよ、またいらしてね」

「お味噌なーら、ハナマルキ、おかーさーん、とくらぁ!」

とらや
「団子の店とらやの従業員のみなさま、本日一日ごくろうさんでした!」
「団子なーら。とらやさん!おじーちゃーん!」

「あっ!間違えちゃった!おかーさーん」
「階段間違えと雪駄脱ぎ忘れ」のギャグは第1作と全く同じパターン


「バッカだねえ…」
←森川おいちゃん十八番の愛情たっぷりのシンプルギャグ

喫茶店で会う夏子と藤村←
(高級純喫茶スカイラーク.ウエイトレス募集TEL609−2525)
コカコーラ
の看板

夏子の演奏会(音楽会)弦楽四重奏.チェロ

そのころ寅は
「易断」の売
「そりゃ私だって商売ですよ、家に帰りゃー女房子供が腹空かして待ってる。昔の仙人じゃあるまいし
霞の中からスーッと出てきてこんなことしているわけじゃありません。
ちゃーんとね、ネタ元というところがあって、その道具を借りて店を出しているわけだ。
こんな易なんてもので人間の運勢などというものが百発百中で当たるわけがない。
あたくしが言っているんだから間違いない。しかし、お客さん、あたくしはこの商売をもう十年やっている。
なぜでしょう?十のうち九つ間違っていても、たったひとつだけ本当のことがあるからなんです。
あなただってそのひとつにすがりたいような悩みがあるからあたくしの話を聞いているんだね、お客さん。
あっ、そこのお客さん、(源ちゃん「さくら」)あなた、親がいないね…。恐ろしいなぁ、あなた捨て子だったね」

演奏会に藤村聴きに来ている。

売終わって、その横で二人して
熱い湯気の立ったラーメンうまそうに食っている。
「せっかくお嬢さんから切符もらったんだからよ、音楽会行きやぁよかったんだ」
「バカヤロー、ああいうところはオレたちの出入りするところじゃないんだよ」


                      

テキヤ「お先に!」
「お疲れ!」←ものすごい早口で。(渥美さんの真骨頂)

このあと源ちゃんの一人芝居しばらく続く
お嬢さんいいお嫁さんになるだろうな」
「あなた、おつかれになった?ご飯にするそれともお風呂?
ねえ、今日ご馳走作っちゃったのよ。何だと思う?」
「・・・・・ラーメンよ」
「ばかやろう!お嬢さんがそんなもの食べるわけないだろう」
「じゃあ、なにを作るんだよ」
「決まっているじゃねえか、スパゲチイよ!



ある朝。とらやに夏子来る。

しっかり店員の女の子映る!(セリフなし)


「おはようございます、いかがですか?先生のお体?」
「それが、はっきりしなくてね…」
「いけませんねー」
とらやの
かまどから湯気、
ずーとこの第2作は源ちゃんが後半従業員として働いている。
まだずーっと東京弁。


「兄貴ー、起きろよー!お嬢さんが来ている…」
ドドド!!!
源ちゃん頭押されて転がる

「お暇あるなんてもんじゃないですよ!しょっちゅうもてあましちゃって
ハナ血がブアーッと出そうですよ!へへ!」

この場面でとらやの「おしながき」「値段」がはっきりスクリーンで読み取れる。
レモン、イチゴ.メロンかき氷50円.あんみつ70円.クリームソーダ70円.
ソーダー水50.アイスクリーム30円
サイダー50円.クリームあんみつ80円.冷蔵庫は
「森永」

サイダーやソーダー水などが50円と、当時の普通の値段なのに比べて、
かき氷やあんみつが安め
特に
クリームあんみつは80円と凄いお得!これじゃあんまり儲けがないぞ。
当時1969年といえども、もしサイダーが50円だとするならば、甘いものの王者
クリームあんみつは下町の安い店でも120円くらいはしたと思う。
(わたしは当時まだ小学校低学年なので想像)


散歩先生、(少し元気ない)「実はな、うなぎが食いたい。天然の、ナチュラルなうなぎが」

ほお被りしてうなぎを江戸川で釣ろうとする寅
タコ社長「なに釣ってるだい?」

「こんな川で
タコが釣れるか?」
おばちゃん、団子とおにぎり、あついお茶の差し入れ←さすがおばちゃん親切!


                


夏子が来て
「お父さんに叱られちゃった…、あたし寅さんのお母さんのことひどい人だって
言ったら、急に怒り出して
『子供が可愛くない親がどこにいる、子供を捨てるには
それだけの辛い事情があったはずだ。他人のおまえが生意気な口をはさむんじゃ
ない』って」

「父もね、お母さんの顔知らないのよ…、」
「えっ…」
「父が二つか三つのときに死んだの」
「先生も産みのおふくろさんの顔知らないんですか…」
「はぁー…」
(ボート、
夕方のサイレン

夏子提案
「じゃあ、こうしたら、丸甚さんとこいって生きたうなぎ買うのよ。そいで、
今江戸川で釣ってきましたって…」
寅、スくっと足って、
「そんなこと知ってるんだったらどうしてはやくそれを教えて
くれなかったんですよ」

「江戸川のうなぎのツラと浜名湖のうなぎのツラ見分けつかねえもんなあ!」

しかしその直後ほんとにうなぎが掛かる!

「引いてる!引いてる!兄貴!」
「うなぎだ!」



                       


「釣れた!釣れた!釣れた!釣れたーい!!」
「うなぎだ!うなぎだ!うなぎだ!うなぎだーい!」

3人とも全力疾走で大はしゃぎして家に帰る。
「お味噌なーら、ハナマルキ、とくら!おかーさーん」

「先生!うなぎ釣れたよ!どてからずっと駈けづめだー!蒲焼にしてやるからね!
正真正銘の天然のうなぎだぞ!キモはキモ吸いにしてやるからな!」
「先生…起きろよ!……!」
「先生………
死んだのか…」
「寅ちゃーん!寅ちゃんの足の速いこと!…おとう…!!」


                              



お通夜

散歩先生のイス
に伏して泣き続ける寅次郎。←御前様に「こんな時こそおまえがしっかりしろ」と言われる。

奮起して次の日の葬式のダンドリをすべて仕切る寅
(寅は葬式のことをとてもよく知っているもうほとんどプロ並)

おいちゃん受付、源ちゃん靴そろえる役、

 
                       


谷よしの、知り合いのおばさん役で、さくらたちと同じ部屋にいる。最初に寅が入院いていた部屋にも
財津一郎の付き添いでいたから
今作品はなんと2回目でしかも別人で登場!
さくら、満男のためにミルク試し飲む(さすが山田監督、芸が細かい!)



「よーし、あれもいいし、これもいいな、あっ、
隠亡(おんぼう)への祝儀忘れてたな…!」
                              


死体の埋葬・火葬などを業とする者を指したが,転じてそれらの役をする者,その役をもそう呼んだ。
御坊・隠墓・煙亡とも書く。以前には,穴掘り・埋葬,あるいは火葬を隠亡にやらせたが,もともと,このオンボウ役は,
死の忌
を最も受け易いと考えられていた。


 藤村、学会の会合終ってようやく葬式にあらわれる。


                        


夏子自分の部屋で思わず藤村の胸に泣き崩れる。
寅、そうとは知らず部屋のドア開けてしまう。
「お嬢さん、お棺が出ますよ、出棺ですよ…」

偶然3人車に乗り合わせる寅の不幸…

夜、とらや


「まいった、まいった、今日は、まいったー!」
「ああいうのを三枚目というんだよ、絵に描いたようだよ」
「ほんとにあいつはバカだねー...」

                         

「えっ?」
「えっ?」
「ううん?…」
「うぇええぇ…!」

電灯をつけた時おいちゃんのうしろで座っている寅
森川信の独壇場だ!これぞおいちゃんギャグ!

二階に上がっていく寅、追いかけるさくら。(窓の外は風が強い)
「さくら、心配するなよ、別にどおってこたあねえんだ…。先生の葬式も
一応取り仕切ったし、これでちったあ先生への恩返しもできたろうよ。」
お兄ちゃん、泣いてるの?」
「バカヤロウ!顔で笑って、心で泣いてよ…そこが渡世人のつれえところよ」
「先生!先生よー!先生は分かってくれるよなー!」

                  


春、桜、とらやの縁側


                              



登が堅気になってとらやを訪ねる。

「お嬢さんは?」
「3日前に結婚式、今新婚旅行で京都」

京都

『そうなのよ、お父さん、私今京都にいるの、つとむさんとふたりでね。
そしてね、とってもびっくりするような、お父さんにどうしても聞かせてあげたい
ことに出会ったのよ。寅ちゃんがいたの」


                                

寅が雪駄を修理してもらっている。

「ホラ、寅、寅、行くで!」
「細かいの、ちょっとくれよ」
「厚かましいな!何べんも何べんもこの子は…」
「いいじゃねえか、親子の間柄で」
「勝手なこと言うな、金の話はまた別じゃ」
「よお!お母ちゃん!しみったれてるなあ、まったく」
『お父さん、寅ちゃんは、お母さんに会っていたのよ。そうなのよ、やっぱり
そうだったのよ。お父さんがどんな顔をするか見てみたいわ。』
「おい、声をかけなくていいのか…?」
「いいのよ…、いいの。」
夏子の顔とても優しい
「でも、もう…、そのお父さんはもういないのね…」
シリーズ屈指の美しく悲しい余韻

三条大橋を渡る寅と菊、失われた時間を取り戻していくように…

やはり、第2作も第1作に負けないくらいの名作だ!

                    


 監   督 :山田洋次
 脚   本 :山田洋次、小林俊一、宮崎晃
 撮   影 :高羽哲夫
 音   楽 :山本直純

 出   演 :車寅次郎/渥美清  
         諏訪さくら/倍賞千恵子
         車竜造/森川信    
         車つね/三崎千恵子
         諏訪博/前田吟   
         タコ社長/太宰久雄
         源吉/佐藤蛾次郎 
         川又登/津坂匡章(後に秋野大作に改名)
         御前様/笠智衆     
         菊/ミヤコ蝶々
         坪内散歩/東野英治郎 
         澄(グランドホテル店員)/風見章子
         医師、藤村努/山崎努
         患者/財津一郎

         坪内夏子/佐藤オリエ
   

         観客動員数 48万9000人




    (2004年1月16日更新)



   第5作「望郷篇」はまた数日後にアップ開始します。


男はつらいよのトップへ戻る

一番最初のページ「バリ島.吉川孝昭のギャラリー」へ戻る